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タイルの接着剤張り・目地詰め体験!ポイントは「60度」?

今回は、名古屋モザイク工業様・タイルメント様にご協力いただき、タイルの施工研修を行っていただきました。
まずはタイル貼りの基礎知識を学んでいきます。

タイル張りの方法

タイル張りには「モルタル」で張る場合と、「弾性接着剤」を使う場合の2通りの方法があります。

モルタルを使ってタイルを張る

モルタル(砂とセメントと水を混ぜて作る)での施工は、昔から行われているやり方で
なんと100年以上の歴史があります。
タイルを張るのにはモルタルを使うのがこれまでも主流のやり方でした。
安価なことがメリットですが、職人の腕による部分が大きいことや
乾燥収縮・熱挙動によってひび割れやタイルがはじけ飛んでしまう場合があるのがデメリットでした。
 

弾性接着剤を使ってタイルを張る

近年注目されているのが弾性接着剤を使った施工方法です。
2018年頃まで、外装に弾性接着剤を使ってタイルを張る割合は約30%ほどでしたが、
現在では約50%ほどと増加傾向にあります。

なぜ弾性接着剤を使った施工が注目されているのでしょうか?

弾性接着剤が注目されている理由

理由1:製品瑕疵保証があること

製造者の団体である全国タイル工業組合(タイルメーカー、接着剤メーカーなど)が定めた、 タイルと接着剤の品質認定制度「Q-CAT」
タイル・接着剤に不備があった場合、2000万円まで保証をするものです。
保証期間は13年間です。

理由2:マンションの大規模修繕

これまでタイル外壁は、築10年を超えると全面打診調査を行い、定期報告する必要がありました。
タイルが浮いている箇所は張替が必要となります。
※一例ですが、打診検査の場合は全面足場を組む必要があるため、10階建てのマンションの場合1000~1500万円ほどかかることもあるそうです。

しかし、適用条件を満たす接着剤張りタイル外壁で施工記録があれば、
歩行者が行き交う通りに面する外壁×各階1か所の引張接着試験に代えることができるようになりました
その場合、先ほどの例と同じマンションでも約100万円ほどの予算で対応ができるそうです。

弾性接着剤を使用することで定期調査に係る施主・所有者(マンション管理組合)の経済的負担が軽減できます
そのため、特にマンションの外壁タイルに関しては、弾性接着剤を使用することが増えてきています。

外装タイルの接着剤張りのメリット

高意匠のタイル張りが可能

目地詰めを行わない仕上がりができるので、タイルの表面テクスチャーが複雑なものや、凹凸・陰影間の演出効果を活かした使い方が可能です。
タイルとタイルの隙間に目地材を入れるのがモルタルでは一般的ですが、熱膨張・乾燥収縮でモルタルが浮いてしまうことがあります。
そうすると目地幅は5mmあけて目地セメントを入れる必要があります。
一方弾性接着剤はゴム状のため乾燥収縮を緩和でき、目地セメントも不要で細目地で仕上げることも可能になります。

安心・安全

構造躯体からくる変形応力等を接着剤層が吸収することで、タイルのひび割れ、剥離の危険性を軽減します。
また、防水効果もあるため、白華や粉吹き現象が起きにくく、美しい壁面を維持してくれます。
モルタルの場合だと、コンクリートにクラックが入った時にモルタルにも同じようにクラックが入ってしまう場合があります。

環境に配慮

モルタル施工と比べて、張付け材料およびタイル製造時のCO2排出量を削減できます。
これは、弾性接着剤はモルタルと同じ量で3倍の面積が張れるため、トラックで運ぶ際のCO2排出量が削減できると言えます。

省施工

カートリッジから接着剤を取り出して、くし目こてで塗布するだけなので、作業効率が大幅に向上。
また、安定した施工品質が得られます
モルタルはセメントと水の半生状態から、水分が蒸発することで固まります。
つまり「今日は湿気が多いから水を減らそう」などベテランの職人の感覚が必要になります。
接着剤なら出して塗るだけなので、そういった職人の感覚による仕上がりの違いがなく施工できます。
慣れれば1~2か月で施工できるようになるそうなので、昨今の職人不足にも対応できる商品だと言えそうです。

Q-CAT保険について

全国タイル工業組合員のQ-CAT認定品 は、適切な組合せによって施工されると自動的に保険が付保されます。
Q-CAT認定品が適切な組み合わせ・施工方法にて使用された場合に自動的に剥落事故の修復費用が補償されます。
10年の定期点検を十分にカバーする13年補償
点検実施の遅延などにより、剥落の発見に時間を要しても安心です。
対象は壁面のみで床面は対象外です。
全国タイル工業組合員以外のメーカーの認定品による工事は対象外です。
対象工事における、認定品の品質不良を原因として発生した、タイルの剥落を修補するための原状復帰費用を補償します。
例:材料費(タイル・接着剤費用)および工事費用。ただし調査のために設置した足場の損料等の調査費用は対象外です。
剥落の原因が品質不良ではなく、施工瑕疵によるものは保証対象外です。
(施工瑕疵は建専連の長期性能保証制度にて対象としています。)

早速、施工体験してみました!

接着剤を使ってのタイル貼り体験

まずは接着剤を使用したタイル貼りの様子をご紹介していきます。

接着剤を壁に塗布する

まず注意点として、接着剤は服とか手につくとなかなか取れないので注意するように教えていただきました。
(が、コテ板を使っているうちに服についてしまいました…。)
接着剤の留め具部分をはさみかカッターで切り、それを直接コテ板にのせます。
接着剤を直接壁につけてのばしても大丈夫なのだそうです。

今回使用したフレックスマルチは、内外用とはなっていますが硬化すると結構匂いがするので、実際には外用です。
湿気硬化型なので例えばテープでしばっておいて翌日に使うのは大丈夫ですが、2~3日後には固まってしまうため基本的には開けたら全て使い切るような気持ちでいたほうが良いとのことでした。
屋内に使う場合は、インテリアフレックスという無臭タイプもあるので内部に利用するときはこちらを使ってください。
まず接着剤を平塗りしていきます。
1~3mm程の厚みで塗るのが良いそうで、職人さんは感覚で良い厚みが分かるそうです。
今回、初めての目地詰め体験ということでコツを聞いたところ「コテは60度」を意識するのが良いそう。
60度にすることで、接着剤を適度な厚みで塗っていくことができます。
接着剤は結構固く、のばすのに力が要ります。
接着剤は重いですがタイルメントの接着剤はそれでも他社よりは重くないそう。
それは作業性を重視しているからだそうです。

くし目を立てて厚みを確認する

今回は5mm間隔で開いてるくし目ゴテを使用しました。
縦(90度)にくし目を立てる場合もあり、斜め45度の場合もあります。
くし目タイルのくぼみと交わらせることが重要です。
接着剤はタイルの60%以上充填されていないと不合格(充填率60%)。
平塗りが薄いときれいにくし目が立たず下地が透けて見えてしまいます。
くし目を立てたときに下地まで通り抜けちゃうと、防水性能という面で少し問題があります。
上手な人はギリギリのところで接着剤の厚みは維持したままくし目を立てていくそうです。

タイルを貼り付ける

タイルを手に取り、軽く接着剤に押し付けるだけでも外れることはないくらいにはくっつきます。
タイルを貼り付ける時はセメントのくし目とタイルの溝が一致しないように貼るのが大切です。
一致してしまうと充填率が低くなってしまい、施工不良となってしまいます。
それもあり、横にくし目を立てることはありません。
横にくし目を入れるとタイルのくぼみに接着剤が入りずらく充填率が下がってしまうからです。

たたき

タイル張り用のタタキ板を使ってタイルを叩いていきます。
タタキ板にはゴムがついているのでタイルが割れることはありません。
ここで叩いてしっかり接着剤を充填していきます。

くし目をつける理由

セメント系のモルタルでタイル張りを行うとき、くし目を付けます。
アンカー効果といわれるもので、材料表面の凹凸に接着剤が入り込んで効果することで、接着力が高まるからです。
その名残で接着剤張りの場合もくし目を付けているそう。
また、平塗りの状態でもタイルは張れますが、そうすると目地詰めの際に目地材が多く必要になります。
若干目地幅からモルタルを出すことで目地セメントの使う量を減らせるという理由もあったそうです。
目地材を入れない場合はくし目を付けず、平たいままにした方が仕上がりがキレイです。

施工後、充填率をチェック

接着剤張りの充填率をチェックしてみました。
左は接着剤量は十分ですね。
右側は40%くらい。これだと不合格になってしまいますね。
塗り圧が薄いと充填率も低くなってしまいがちです。
接着剤量は多すぎてダメということはないですが、タイルとタイルの間から出てきてしまうと
目地部分から浮き出てきてタイルについてしまうリスクもあることが実践してみて分かったりもしました。

裏ネット張りタイルの施工

裏ネット張りのタイルは、目地を詰めないとネットが見えてしまいます。
裏ネット張り以外には表紙貼り(表紙貼り)のタイルもあります。

もし接着剤がタイルについてしまったら、薬品または除光液で落とします。
職人さんはさすがプロ!なので、タイルにつけないように基本的には施工ができるそう。

タイル設置後は、24時間以内に目地に入ることはありません。
しっかり接着剤を乾燥させてから目地詰めを行います。
【こぼればなし:寒冷地について】
寒冷地の冬場の施工は大変です。
接着剤は水を含んでるため、接着剤自体が凍ってしまいます。
冬場は外壁に全部シートを引いてヒーターをつけながら施工していることもあるんだとか。
接着剤も固まってしまったらマイナス20度くらいまで耐えられるけど、
接着剤の状態だとマイナス5度以下になると固まるのが遅くなってしまいます。
接着剤全般が同じで、木工用ボンドなどはほとんど水だから倉庫にいれてたら固まってしまったりするそう。
気温が上がれば解けますが、強度が落ちるため一回凍ってしまうと接着剤は使用できませんのでご注意ください。

目地詰め体験

次に、モルタル張りの際の「タイルの目地詰め」を体験させていただきます!
モルタル張りの場合、目地詰めをしないことは基本的にはないそうです。

タイルを水で濡らしてシートを剥がしていく

シートを剥がし終わったら水で拭くとノリの跡も消えます。
(3分待つとふやけて取りやすくなる)とタイルの紙にも書いてありました。

目地材を準備する

タイルの設置場所によって、厨房・銭湯の床等は耐酸性の目地を入れることもあるそう。
床に仕様するタイルは、人が歩いたりもするので耐摩耗性が必要となります。
その場合、目地材も今回仕様したものより固く練って使用するとのことでした。

目地材をタイルの上に載せる

こちらも接着剤と同じで、「コテは60度の角度で広げていくこと」がポイントだそう。
コテを壁と平行にすると目地材が下から溢れてしまいます。
60度にすることで、目地材がボトッと落ちることもなく、適度な厚みが出せます。
職人さんはササっと塗っていくように思えますが、やってみると結構腕が疲れました。
端部にうまく目地材が入りませんでしたが、現場では基本的にシーリング材が入るのでそういったことは起こらないため、あまり気にしなくて大丈夫とのこと。
目地材を付けすぎるとそのあとの仕上げが大変なので、ある程度拭き取って目地材の処理を終えます。

仕上げ

まずは1つ目のスポンジでざっくり不要な目地材を拭き取ります。

目地部分が少し凹んでしまうのでなかなか均一にいきません。
力が強すぎると必要な目地部分まで拭き取ってしまうので、表面を優しく拭いていくのがポイント。
行ったり来たりするとせっかく拭いた目地材がまたタイルにのってしまうので、
上から下、右から左など往復させずに一方通行で拭き取ると良いです。

タイルより目地が少し凹んで、よく見かけるタイルの形になりました。
次に、仕上げ用のスポンジでタイルをきれいに拭きあげていきます。

プロの方は、特にマンションだと 目地入れ/粗拭き/仕上げ の人と分けて仕事をすることが多いそうで、
スポンジも自分が使いやすいようオリジナルサイズで作っている人もいるそう。

1週間後の再仕上げ

画像の赤枠内のようなピンホールが出てしまうと失敗です。(セメント目地)
水とか練り加減、コテの圧力やスポンジ拭きの加減などで出てしまうそうです。
補修は、ピンホールの上にセメント目地をのせて補修します
今回は行っていませんが、セメントがある程度乾いた1週間後くらいに塩酸で洗ってタイル張り・目地詰め完成です。

いかがでしたか

今回は、実際にタイル張り・目地詰めの体験をさせていただきました。
道を歩いていてもよく見かけるタイル張りですが、実際に施工してみようとすると結構大変でした。
ただ、モルタル施工だと長年の経験や知恵が必要になってきますが接着剤張りだと特に加工する必要がないため
これからの職人不足にも対応できる商品だということがよく分かりました。

ジェイリライフでは、タイルや今回利用した接着剤等も販売しています。
ぜひ商品もチェックしてみてくださいね。
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